「休業損害」と「逸失利益」について

交通事故に遭ったら、保険会社との示談交渉を進めなければなりません。特に愛知県、名古屋エリアは全国でも交通事故が多い地域であり、誰にとっても他人事とはいえません。

示談交渉は、被害者の症状が固定し、後遺障害の等級や入通院慰謝料の目安が定まった時点において、被害者の損害が確定し、保険会社としては損害賠償額を提示できるようになります。

その時期以前の段階では、損害額は確定せず、損害額は算定できないと考えておくと良いでしょう。

しかし、損害が確定したとしても、「休業損害」と「逸失利益」です。

「休業損害」とは、交通事故の怪我によって仕事を休まざるを得なくなったために被った損害のことをいうパターンです。

「逸失利益」とは、後遺障害が残ったために将来的に失うであろう収入源のことをいいます。逸失利益については、交通事故では、収入額に応じて労働能力喪失率(等級によって労働能力喪失率が定められています。)を乗じます。
そして、さらに、症状固定時の年齢から「67歳」までの年数のライプニッツ係数(将来の収入を現在もらうことになりますので、その調整のための係数と考えておいていただければ構いません。)を乗じた金額を求めることができます。

休業損害に争いが生じる理由

では、「休業損害」のパターンはなぜ争いが生じるのかを解説したいと思います。
被害者の方では、交通事故で怪我をして会社を休めば休んだ分だけ休業損害がもらえるはずだから、争いなんて生じないと考えている方も少なくないかもしれません。
しかし、実際はそうではありません。
では、実際にそうではないパターンというのはどういうものなのでしょうか。

  • 実際に休んでも、休業の必要性がなかったということで休業損害が認められないというパターン
  • 裁判でも、全休業日において認められるわけではなく、休業日数の何パーセントというように考えていくパターンをとっています。

では、どうすればいいのか。
この場合、

  • ある程度、働けるようになったら、働き始めることも検討されても良いかもしれません。
  • ただ、無理をして、社会復帰をして、再び求職をした場合に、保険会社から出勤をしたのだから、この時期から働けたのだろうといわれることもありますので、復帰の日については慎重にお考えいただくのが良いかと思います。

逸失利益に争いが生じる理由

多くの方にとって、交通事故は初めての経験です。
まず、逸失利益についてなぜ争いが生じるのかを解説したいと思います。
では、逸失利益の計算方法はどのようなものでしょうか。

  • 収入額は、一般的に源泉徴収票、確定申告書、課税証明書によって定めて、労働能力喪失率は14級から1級にかけて、5パーセントから100パーセントという形で参考の数値が定められております。ライプニッツ係数は年数さえ分かれば決まった一定の数字が算出されることになっているはずです。
  • しかし、全部数字が機械的に決まりそうであるのに、なぜ争いは生じるのでしょうか。実は、この計算方法は、すべての後遺障害にあてはめられるものではないと考えられているからです。
  • たしかに、機械的には、「3歯以上に歯科的補綴を加えたもの」は、14級と定められています。
  • しかし、交通事故で歯を3本治療したからといって、将来的に収入を失うのかというと、損害算定の「差額説」からは疑問が生じるのです。
  • たしかに、歯の専門のタレントさんは、歯ブラシなどのCM等に出られなくなる可能性がありますから、明らかに収入が減るといえるかもしれません。
  • このように、「3歯以上に歯科的補綴を加えたもの」については、労働能力喪失の目安が定められていますが、個別の事情によって変動が生じる可能性があります。

神経症状に「局部に神経症状を残すもの」など

いわゆる神経症状については、14級「局部に神経症状を残すもの」、12級「局部に頑固な神経症状を残すもの」があります。
後遺障害では、1)可動域制限、2)神経系の痛み―に大別されるといって良いと思います。
今回のパターンは、2)の神経系の痛みということになりますが、率直に痛みが残っているということになります。
しかし、労働能力喪失というと、基本的には、身体の機能がなくなったという扱いを受けるはずなのですが、「神経症状」の場合は、労働能力を喪失する期間を、例えば5年間というように限定されることがあります。
一見すると、「ひどい!」と思ってしまいますが、裁判所としては、1)痛みは慣れたり将来的に軽減したりすることもある、2)代替動作を獲得するかもしれないから―という点に論拠を置いています。
したがって、「労働能力を喪失する期間」は限定するしかないのか、仮に限定する場合には、時間はどの程度にするのかといった点が争点となります。

被害者は、怪我を選ぶことができません。逸失利益に争いが生じる場合には、被害者としては、如何ともしがたいことが多いでしょう。
このように、交通事故に遭った後は、要所要所で適切な対応をしなければなりません。
自分一人では適切な対処方法がわからないため、後になって不利な状況に陥ってしまう方が少なくありません。
弁護士に相談すると、状況に応じたアドバイスを受けられるので、後に後遺障害認定を受けやすくなったり示談を有利に進められたりすることができます。

事故対応でお困りの方がおられましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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